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退職金の課税、24年税制改正では見直さず②

・分離課税
また、もう一つの優遇要素として
退職所得は原則として他の所得と切り離して課税されることです。
他の大体の所得は総合課税と言って
別の所得と合算してその上で税額計算をすることになります。


例えばその年Aさんに不動産所得(イメージ不動産による儲けみたいなものです)が500万あったとします。
不動産所得以外に退職所得が500万ある場合(さっきの退職金2,500万 勤続年数30年のことです)
不動産所得にかかる税金と退職所得にかかる税金を別々に計算するわけです。


500万の場合の税率と控除額は30%-427,500(所得税・住民税)ですので
不動産所得にかかる税金:500万×30%-427,500=1,072,500(※4)
退職所得にかかる税金 :500万×30%-427,500=1,072,500
合計         :            2,145,000
(※3)


これに対して不動産所得以外に例えば事業所得が500万(事業の売上-経費が500万のイメージです)ある場合
不動産所得500万と事業所得500万を合算して計算することになるので…
1,000万の場合の税率と控除額である43%-1,536,000(所得税・住民税)で計算することになり


不動産所得と事業所得にかかる税金:1,000万×43%-1,536,000=2,764,000
となります。


税率は所得が高ければそれに応じて高くなるため
別々に計算する分離課税の場合は
低い税率で計算でき結果税額が低くなる分有利なわけです。


どうしてこんなに退職金は税制上優遇されているのかといいますと
退職してもらうお金ですので、その後これまで毎月もらえてた給与みたいなのは
発生しないわけですね。(もちろん再就職などしたら別ですが)


定年退職後などの生活の糧となる退職金に重い課税をしてしまうと
生活が困る人が出てくるかもしれず、そうならないように優遇しているというわけです。


ただまあ…
今回改正は見送ったわけですが
行おうとしていた改正の方向性としては
ニュース等によると


計算方法の勤続年数が20年を超えた場合の控除額について
現行:20年×40万+(勤続年数-20年)×70万 
のこの最後の70万の部分について変更をしてはどうか(40万にする?)
という方向だったようですね。


個人的には抜本的な改正という感じではないと思っていますので
(それでも改正しなかったのは支持率を気にし増税メガネのイメージを拭いたかったんですかね…)
このレベルの改正であれば
25年税制改正か
はたまた岸田さんではないもっと先の時代かはわかりませんが
いつか見直される可能性はありますね。


(※3)厳密にはこのほかにも復興特別所得税というものがかかりますが
    話の分かりやすさを優先したいのと額が小さいため割愛しています
(※4)実際は基礎控除や扶養控除等の不動産所得から差し引ける控除がありますが
    その人の状況により控除額が違うのでここでは簡便的に割愛して計算しています

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